インストラクタへの道 講習・基礎編

よくできたテキストを渡されたらラッキーです。

それを読み上げていけば講習は終了するでしょう。

しかし受講者は「インストラクタは何でも知っている」と思っているので、(そう思っていなくても元を取るために)テキスト以外の疑問点を聞いてきます。

しかし質問がまったくない、あるいは最初はあったが減っていくケースがあります。

質問がないのはなぜか?

聞いてこない原因としては次の4つが考えられます。

1.ものすごく優秀な受講者ばかりである。

2.「テキスト以外のことを聞いてもムダだ」と思われている。

3.恥ずかしい。

4.あなたの説明があまりにも難解である

質問させる

1の場合は問題ありませんが、そんな例はあまりありません。(そういう人は講習を受けません。)

「テキスト以外の事を聞いてもムダだ」と思われるのは「テキストの棒読み」に終始しているからです。この場合は、今後の仕事に影響があります。つまり仕事がなくなる可能性があります。

これを回避するために、正直なところ「何も質問するなよ」と思っていても「何でも聞いてください」と言ってしまいましょう。すると当然、知らないことや即答できないことを聞かれます。その場合は「次回までに調べておきます」と言って何とかして回答を用意しましょう。その方法は後述します。

親切に、面白く

しかし初めから「テキストの棒読み」は避けるべきです。そんな講習、受ける身になったらつまらないですよね。しかも「そんなことなら私にもできる」と受講者に思わせたら、もう信用されません。関連する話題で「そう言えば以前こんなことがありました」と聞いた話や体験談を話すだけで、オリジナリティがあります。

3と4の場合は工夫が必要です。1回言ったぐらいではその操作ができない人もいます。3回目ぐらいにやっと分かる人もいますので、同じ質問をされても初めて答えるような態度で丁寧に答えましょう。また呆然としている人を見たら表現を色々変えてみましょう。(例:マウスポインタを矢印と言い換えてみる。)色々な言い方をすると「なーんだ、そうか。初めからそう言ってくれたら」という人もいてこっちも勉強になります。

しかし何回も同じ質問をするのは結構、勇気がいるものです。誰にでも自尊心がありますので、バカだと思われたくありません。このような人のために「何回でも同じ質問をしてください」と言っておきましょう。

そしてもちろんイライラしない、怒らないこと。

僕のお客さんの多くは身内にパソコンに詳しい人がいるのに、わざわざ他人の僕に聞いたりします。なぜその人に聞かないのかと尋ねるとほぼ100%、「身内に教えてもらうと(身内の人が)怒り出す」と答えます。「何でこんな簡単なことができへんねん」というイライラから怒り出すようです。

あなたの身内にパソコンができない人がいたら、いいトレーニングだと思って怒らずに教えてみましょう。「私がやった方が速い」と、その人に代わって操作をやってしまってはいけません。時間がかかっても丁寧に指示をして本人に操作をさせるべきです。(あなたの方が操作が速いのは当たり前です。それを見せるのが目的ではないことを銘記しておきましょう。)相手がメモを取りたがるようなら、「一度やってみせるから」と実際に操作をやってみせた後、やった操作を全てキャンセルし「じゃ、やってみて」と今度は本人にやらせてみます。彼らの目的は、生成物を作ることではなく、パソコンの操作を覚えることだからです。

また、講習の内容とは直接関係のない話は受講者をリラックスさせます。自分の失敗談なども交えて話すと親しみをもってもらえるでしょう。

冗談は結構ですが、ダジャレはダメです。笑いのセンスを疑われます。どうせ笑わすなら受講者が泣きながら床を笑い転げるぐらいのバカウケ必至のネタを練りに練って舞台に臨みましょう。

とまでは言いませんが、「面白い」と思わせるのは意外に重要です。どんなに正しい内容でも面白くなければやる気が出ません。受講者は「正しい内容」より「面白い講習」を要求する可能性があります。これは受講の動機によるのですが、仕事の為にパソコンを習うなら面白いかどうかは二の次でとにかく操作や知識を要求しますが、ほとんどの受講者(特に初心者)は楽しむためにパソコンを習うので、「面白さ」は不可欠です。

そういう訳で僕は受講者の要求を見て、「面白さ」と「多くの知識」のどちらに重きを置いて講習をすべきか判断しています。(僕自身は、うまくいっているかどうか、正直なところあまり自信がないのですが)

実際の講習では「仕事のため」の人と「楽しむため」の人が混在しています。多くの場合「楽しむ」派が多いので面白い方に重点を置きます。「仕事」派(で、しかも理解も操作も早い)はイライラしていますが、要求が高い方にちょっと我慢してもらうのは止むを得ないでしょう。しかし可能なら、そういう人の近くに行って一段高い課題を与えておいてください。「えー、そんな難しいこと」とか言いながら結構喜んでいます。

操作がすごーくのんびりしている人がいる

ほとんどの場合、そういう人も少し待てばちょっと遅れますがちゃんと操作しています。生まれて初めて聞く単語と目の前の画面を照合して頭の中で整理するのは誰でも時間がかかります。(僕はそうでした。)

でもあまりに他の人と差がある場合は、スケジュール通りに講習が進まなくなります。講習には必ずスケジュールがあって、時間内に講習内容を消化する必要があります。受講者はそのスケジュールに沿って講習を受ける権利があるので、講習内容を消化できないと契約違反になります。(そんな場合でも満足していただく方法は次回に解説します。)

少数の人の為にスケジュールが狂うような場合は、教室の責任者やスタッフと打ち合わせをして対策を講じる必要があります。(ここからはその教室の方針となるので、指示に従うなり、よく話し合うなりしてください。)

調べる

さて、即答できない質問に対して「次回までに調べておきます」と言った後、どうやって調べたらいいでしょう。

誰かに聞きますか?

何を質問してもタダで親切に、しかも何回でも答えてくれる人がいればいいのですが、なかなかそういう奇特な人はいません。

仮にそんな人がいても(特に、このページを読んでいるあなたは)いつまでもそんな奇特な人に頼っていては「解答への道筋」が分からず、その人がいなければ前へ進めなくなります。

自分で調べましょう。

インストラクタを目指す人ならもうWordやExcelのイルカの使い方、つまりイルカと正しく会話する方法が分かってきているはずです。(初心者の頃はイルカとの会話が成立しなかったですよね。)また、WindowsにはWindowsのヘルプが、それぞれのソフトにはほとんど必ずヘルプメニューがあるはずです。それで調べてみましょう。(本を読まず人に聞かず、ヘルプだけで勉強したという人の話を聞いたことがあります。僕にはそこまではできませんが。)

ヘルプで解決しなければ検索エンジンで検索してください。「出てこないはずはない」と思ってください。同じ疑問を持つ人が日本に自分1人だけという可能性は低いはずです。検索結果が思わしくなければキーワードが間違っているのです。また、Yahoo!だけが検索エンジンではありません。必ず複数の検索エンジンを試してください。

ちょっと突っ込んだ内容、例えばWindowsのシステムに関するキーワードで検索したりすると英語のページが引っかかったりします。英語が堪能な人はいいのですが、僕のような人間にはかなりキビシイので、http://excite.co.jp/worldのようなページで翻訳します。(コンピュータによる直訳なのでちょっと訳がヘンですが、頑張って理解してあげてください。)

サービス業のプロである

いわゆる義務教育の学校の先生とインストラクタは違います。インストラクタはサービス業です。正しいことを教えていれば、身なりはどうでもいい訳ではありませんし、ニンニク臭が漂っていていいこともありません。ギョウザ摂取の熱い衝動は、鍛え抜かれた鋼鉄の如き精神力でねじ伏せましょう。

要するに不快な印象を与えてはならないということです。

(エラソーなことを書いていますが、僕自身が不快な印象を与えていないか、というのは僕はよく分かりません。僕の講習を受けている人、友人、お客さん。不快な印象を与えているかも知れません。ごめんなさい!)

また、報酬をもらって仕事をしたら「プロ」です。これはあなたの自覚と別の問題ですので注意してください。あなた自身は生まれて初めてやる講習で「プロなんてとても言えない」と思っていても、少なくとも受講者にとってはプロの先生です。レストランの店員が「私はアルバイトの初日だからできません」とお客さんの要求をかわすことはできないのと同じで、報酬をもらう以上、お客さんの要求に応える義務があります。

プロ根性はどんな仕事にも必要です。

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